くき漬けを詳しくご紹介

くき漬けは銚子川の恵み

くき漬けの原料となるヤツガシラは、栽培に大量の水と栄養分を必要とします。特に水は一度でも切らしてしまうと、確実に成長や収穫量に悪影響を及ぼすと言われています。全国でも有数の降雨量を誇るこの地は、栽培地として最適だと言えるでしょう。便ノ山で特にくき漬けが盛んに作られてきたのは銚子川のおかげではないでしょうか。大台ケ原を源とする銚子川のきれいな水と、農家の皆さんが施すたっぷりの栄養と愛情が、いいヤツガシラを育ててくれるのです。

発祥は便ノ山?

江戸時代の古文書「尾鷲組大庄屋文書」に、江戸幕府の役人たちを尾鷲組がもてなしたときの献立表が残っており、ここに「香の物」として「くき」と記録されています。「家庭の味」であったせいか、「えらいさん」ではなく「下々」の足軽やそれより下の身分の皆さんが食べたようです。

くき漬けは海山地区を中心とした東紀州の一部で食され、生産されています。なかでも世界遺産熊野古道馬越峠の麓で、銚子川の水に恵まれた『便ノ山が発祥地』である、という話が便ノ山では伝わっています。

種まき権兵衛さんとくき漬け

便ノ山集落には「ごんべが種まきゃ~♪カラスがほぜくる~♪」の歌で有名な種まき権兵衛さんが暮らしていました。権兵衛さんは鉄砲の名人であったことが有名ですが、苦手だった畑作業にも精を出していました。歌のとおり、種をまくとカラスに食べられていたようですが、カラスを追い払うのではなく、「カラスよ、おまえもひもじいのだろう」と、また種まき・・・を繰り返して、村一番の収穫量を誇るほどになったとか。

実は権兵衛さんもくき漬けを食べた?作った?かもしれませんね。

鉄砲の名人で、地域を救った英雄となった種まき権兵衛さんの武勇伝はこちらをご覧ください。

ふるさと企画舎の取り組み

この地域の夏には「なくてはならない」くき漬けですが、地域の高齢化が進み、ヤツガシラの栽培も漬けこみも手間がかかり、くき漬けを作る人が年々減り続けています。

くき漬けの発祥の地・中心の地とされている便ノ山でも作り手はごくわずかで、その生産量も限られています。
私たちふるさと企画舎では、このままではくき漬けがなくなってしまうのではないか?との危機感とこの伝統食を後世に残したい想いから、2010年からくき漬け作りに取り組み始めました。

銚子川のほとりにある、種まき権兵衛さんの菩提寺である宝泉寺の檀家さんたちが所有する土地をお借りし、「ごんべぇ畑」と名付けた畑で生産を続けています。(このくき漬け作りについては、ふるさと企画舎ブログ「海山にこいま」の中の「くき漬け大作戦」で詳しく紹介しています。)

くき漬けの食べ方

1.皮をむき、細かくきざむ。

2.生節を薄く切る。

3.ショウガをすり下ろす。

4.くき漬けに、生節・ショウガをのせ、しょうゆ少々をたらして出来上がり。

  • 熱々のご飯と一緒に食べる!旨い!おかわり!
  • ご飯の上に全部のせて、混ぜて食べても良し
  • サラサラお茶漬けも根強い人気

※ショウガはチューブやひねショウガでもOKですが、この時期ちょうど出回る新ショウガをぜひ!

その他オススメの食べ方

飯+くき漬け+生節の組み合わせは、炭水化物+ミネラル+たんぱく質をバランスよく摂取できます。イベントで大人気の「くき漬けピザ」も同じくバランスの良い一品です。ショウガ・しょうゆをプラスすると、ミネラルはさらにアップします。

くき漬けに期待される特徴的な健康効果と栄養素

ヤツガシラの茎・赤シソ・酢(梅酢)・塩で作られるくき漬け。いずれも美容と健康に不可欠な重要成分を大量に含んだ、優秀な食材です。

便秘解消や美肌・ダイエット効果はもちろん、アレルギー抑制や生活習慣病・がんの予防などにも期待されています。これらの効果はくき漬けと相性の良い生節やショウガ等合わせる食材にも含まれ、相乗効果をもたらすと考えられます。

ふるさと企画舎公式ブログ 『海山にこいま』~くき漬け大作戦~でくき漬けについての情報を紹介しています。ぜひ、覗いてみてください。


~くき漬け大作戦~